告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
唇が震える。なんで答えたらいいのか分からない。何も言わない私に、陸くんは話を続ける。
「あまりにも抵抗されて、知らない奴まで間に入ってきて、焦って一番したらいけないことした」
「…………」
「けど、会えなくなって、高校に上がったらお前がいて……とにかく必死だった」
「……そんなの」
「……昔のことも、本当は転校した後もずっと謝りたかった」
ずっと?ずっとって……なにそれ。
私だって、陸くんに言われた言葉でずっと苦しんできた。言った言葉は消えないじゃない。今更謝って何になるの?
それって、自分が楽になりたいだけじゃないの──?
困惑と怒りが入り混じり、こんな感情初めてで、どうしたら良いのか分からない。初夏特有の緩い風が、私達の間を吹き抜けていった。
「……謝られたって、簡単に許せることじゃないよ」
「分かってる」
「陸くん達のせいで、私ずっと男子が苦手になって……いつだってあの時のこと思い出して、苦しかった」
「……ごめん」
「私、陸くんのこと……すごく信頼してた。大切な友達だったから余計に……」
ある日突然、自分の大切な友達が自分を嫌いだと言う。自分の存在を否定し、大勢で囲み立ち直れなくなるまで気持ちを踏み躙る。
あの出来事をごめんの一言で終わりにしようとしているのなら、私はどうしても頷けない。
陸くんは俯き黙ってしまった。けど、なんで突然あんなことをしたの?有菜ちゃんが不思議がっていたのを思い出し、この疑問をぶつけてみようと口を開く。
「なんで突然、陸くんは変わっちゃったの?」