告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
「そうだな」
陸くんのアッシュグレーの髪の毛が、風で揺れる。こちらを見つめるその視線は、昔のように優しく、寂しいものになっていた。
頭の上に乗った手はゆっくりと離れていく。
「また、凛子に笑ってもらえるよう頑張るわ」
「……えっ」
「俺はまた凛子と友達になりたい」
「あの、えぇっと……」
「だから、これから普通に話しかけるけど、無視すんなよ」
「しないけども……」
先手を打つかのような言葉に、私は一歩後ずさる。よく考えたら、成長した陸くんめちゃくちゃチャラく見えるし威圧感があって、さっきまで横並びだったから普通に話せてたけど、向かい合って話すのは迫力がありすぎる。
────あれ?待って、そういえば私達普通に話しているけど、学校。
「ちっ……遅刻っ!!」
「あ、やべぇ。確かに」
「早く行かなきゃ!」
「ほら早く」
陸くんは私の手首を掴むと、駅の入り口に向かって走り出す。その姿はあの頃と重なった。
きっとしこりも残るし、私達があの頃のように戻ることは難しい。けど、新しい日々を重ね、新しい関係を築くこともできるんじゃないかと思えるくらい心が軽くて、今の自分を嫌いじゃないと思えた。
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