告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
「おい、あれ」
「……あっ」
陸くんに手を引かれ、全速力で駅構内を走り辿り着いたホームには、水瀬くんが立っていた。薄らと額に汗をかいている。もしかして、わざわざ戻ってきて探してくれていた……?その姿を見ただけで何故か安心して、また涙が出そうになった。
階段の途中で立ち止まった私達に気が付いた水瀬くんは、私達に気付くと無表情でこちらにズンズンと歩いてきた。
そして、私の手を握っていた陸くんの手を掴み上げ、陸くんを静かに睨み付ける。
「片山さんに何してた」
「別に何も。話してただけ」
「あんな引き止め方して、怖がらせることするな」
「それは悪かったとは思うけど、俺が謝るべき相手は凛子だろ。お前には関係ない」
「……凛子?」
水瀬くんは、陸くん睨みつけていた目を丸くし、私に視線を移す。
そして不服そうに目を細め、唇をギュッと結んだ。
えっと、何この表情……もしかして陸くんが私の下の名前を呼んでるから?というか、待って私達遅刻してるんだよ?とりあえず今ちょうど来た電車に乗らなきゃ。
そう思っていると、陸くんはするりと私達の間を抜けて電車に向かって行った。