告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
「またな凛子」
「はっ、えっ……ちょっと!」
「…………」
私はまるでめんどくさいことはごめんだという感じの陸くんと、その場で微動だにせず私をじいっと見ている水瀬くんを交互に見て冷や汗をかく。
陸くんが乗り込んだ瞬間、扉は閉まり電車は行ってしまった。
あーーー、もう。ダメだ。急いだところでどうせ遅刻だし、諦めよう……。
私は水瀬くんのシャツの裾を引っ張る。
「水瀬くん、座ろう」
「……片山さんのバカ」
「え?待って突然なに?」
「めちゃくちゃ心配したし、めちゃくちゃ探した。なのに、何でアイツに下の名前呼ばれてんの」
水瀬くんは椅子に座らず、階段を下りてすぐに立ち止まり、私を責めるように視線を送ってくる。
────ちょっと待って。私、最悪だ。一気に青ざめる。
昨日過呼吸にされた相手にほぼ無理矢理拉致された私を、水瀬くんは心配し探し回ってくれていたのに。のうのうとその相手と戻ってきて……。
「ごめん水瀬くんっ!心配させてごめんね?私、無神経で……!あのね、陸くんとはちゃんと和解して……」
「陸くん?」
「あっ」
「……意味わかんねぇ」
水瀬くんの言葉が冷たく響く。それに反応するように、一気に私の思考は冷えていった。