竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~
少し白髪の交じる茶色の髪を後ろでひとつにまとめ、金糸の刺繍が施された豪華なフロックコートを身に纏ったこの男は、ジェラール付きの侍女であるマリベルの父親のブレンダン=スターラックだ。王都からほど近い、ナルト地方を治めるスターラック侯爵家の当主でもある。
来訪者に気付いたゴーランが鼻に皺を寄せ、「ウウウゥ」と威嚇するような唸り声を上げる。ブレンダンは驚いたような顔をして一歩後ずさった。
「ゴーラン、止めろ」
ジェラールのかけ声でゴーランは唸るのを止めると、不服そうな顔をして部屋の隅で丸くなった。ブレンダンがほっとしたように息を吐く。
「ジェラール陛下。先日議会で議論した件でお話が──」
ブランダンは持っていた書類をジェラールに差し出した。ジェラールがその書類を受け取りざっと目を通すと、臨時予算の申請に関するものだった。
「これは先ほど、進めていいという話で纏まったはずだが?」
「内容が少し変わったので、再度ご確認させていただきました。それでは、進めさせていただきます」
怪訝な表情をしたジェラールに、ブレンダンは慇懃な態度で頭を下げる。
「ところで陛下」
「なんだ?」
「あのような、得体の知れない娘を王妃候補にするなど本気でしょうか? それに、魔獣を陛下の側近に授けるのもいかがなものかと思います。王宮内で魔獣に襲われ怪我人が出るのも時間の問題です」
ブレンダンがこちらの顔色を窺うような表情で、ジェラールを見つめる。
来訪者に気付いたゴーランが鼻に皺を寄せ、「ウウウゥ」と威嚇するような唸り声を上げる。ブレンダンは驚いたような顔をして一歩後ずさった。
「ゴーラン、止めろ」
ジェラールのかけ声でゴーランは唸るのを止めると、不服そうな顔をして部屋の隅で丸くなった。ブレンダンがほっとしたように息を吐く。
「ジェラール陛下。先日議会で議論した件でお話が──」
ブランダンは持っていた書類をジェラールに差し出した。ジェラールがその書類を受け取りざっと目を通すと、臨時予算の申請に関するものだった。
「これは先ほど、進めていいという話で纏まったはずだが?」
「内容が少し変わったので、再度ご確認させていただきました。それでは、進めさせていただきます」
怪訝な表情をしたジェラールに、ブレンダンは慇懃な態度で頭を下げる。
「ところで陛下」
「なんだ?」
「あのような、得体の知れない娘を王妃候補にするなど本気でしょうか? それに、魔獣を陛下の側近に授けるのもいかがなものかと思います。王宮内で魔獣に襲われ怪我人が出るのも時間の問題です」
ブレンダンがこちらの顔色を窺うような表情で、ジェラールを見つめる。