竜王陛下のもふもふお世話係２～陛下の寵愛はとどまるところを知りません～

　どことなくジェラールの返事の歯切れが悪い気がして、ミレイナは怪訝に思った。

（どうしたのかしら？　少し元気がない？）

　冷然とした凜々しい姿は一見するといつもと同じなのだが、ミレイナにはなんとなくジェラールが沈んでいる気がした。

「陛下、ラトにご飯をあげますか？」

　ミレイナがどんぐりを手渡すと、ジェラールは素直にそれを受け取った。そして、ラトに差し出して器用に食べている様をじっと観察している。

「陛下。この後お時間があるようでしたら、今日はお散歩も一緒に行きませんか？」

　ミレイナがおずおずと提案すると、ジェラールは少し不思議そうにミレイナを見返した。

「あの……、少し気持ちが沈んでいるように見えたので、気分転換になるかと思いまして」

　ミレイナは慌てて言い訳するように、そう付け加える。新鮮な森の空気を吸いながら歩くだけで、少しは気分が晴れると思ったのだ。