竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~
5.ミレイナ、ピンチに陥る
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ミレイナがラングール国に戻ってきてから半年程が過ぎた
ラングール国での生活が長くなるにつれて、色々と生活に変化が起きる。その最たることは、友人や知り合いが増えたことだった。
この日、王宮内の廊下を歩いていたミレイナは前方から見覚えのある人が歩いてくるのを見つけた。
(あれってもしかして)
ミレイナは目を懲らす。すると、向こうもこちらに気付いたようだ。
「あ、ミレイナ」
淡い黄色のドレスを着たその女性が片手を上げた。
(やっぱり! スザンナ様だわ)
ミレイナは足早にその女性──スザンナの元に近付く。
スザンナはシェットの相棒であるウォルトの妻だ。
「スザンナ様、今日は王宮にいらしていたのですね」
「ええ。ちょっと用事があって、メイド長にご挨拶してきたの」
スザンナはおっとりとして控えめな雰囲気の美人で、新緑を思わせるような美しい瞳が魅力的な女性だ。美しく結い上げられた茶色い髪は彼女のお淑やかな印象をより一層引き立てている。
ミレイナは知らなかったが、以前は王宮の皇宮区でジェラール付きの侍女として働いていたという。ウォルトとはそれが切っかけで知り合ったのかなと、ミレイナは勝手に想像している。
「ちょうどよかったわ。ミレイナに伝えたいことがあったの」
「私に伝えたいこと?」
スザンナは持っていた手持ちバックから一通の封筒を取り出した。