竜王陛下のもふもふお世話係２～陛下の寵愛はとどまるところを知りません～
　そう言いかけた　ラルフの言葉を、ジェラールは遮る。

「俺が行く。時間が勿体ない。ウォルトはスザンナにもう一度、今日のことを確認してくれ」
「かしこまりました」

　表情を強ばらせたウォルトが頷く。

「王宮に着く直前と言うことは、もしかすると自力で戻っているかもしれない。ラルフは、王宮内のミレイナが行きそうな場所を探してくれ」
「はい」
「ゴーラン、行くぞ」

　ジェラールはゴーランに声をかけると、すぐにテラスへと出る。
　白銀の竜へ姿を変えると、あっという間に夜空へと飛び立った。

　　　　◇　◇　◇

　マリベルの実家、スターラック家が構えるタウンハウスは、王宮からすぐ近くにある。ジェラールが屋敷の一角に降り立つと、雇われの衛兵があっという間にやって来て取り囲まれた。

「お前、何者だ！」

　剣を手に威嚇してくる衛兵達は、ジェラールは冷ややかな視線で睨み付ける。人間へと姿を変えると、返事をすることもなく片手を振る。答える時間も惜しかった。
　辺りに突風が吹き、衛兵達が皆吹き飛ばされた。

< 161 / 244 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop