竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~
(どういうことだ?)

 可能性として考えられることはふたつ。
 ひとつは、ここで何かしらの乗り物に乗った。

 もうひとつは、上空へと飛んでいった。

(どちらにせよ、ミレイナが自力でできるとは思えないな)

 ジェラールはもう一度周囲を見回す。
 既に漆黒の闇に包まれた辺りは、ほとんど明かりがない。けたたましい虫の声と、時折どこかで鳴くミミズクの鳴き声が聞こえてきた。

(こんなことなら、行かせるべきではなかった)

 脳裏に浮かぶのは、頬を赤らめながらも嬉しそうにはにかむ昼間のミレイナの笑顔だ。
 ジェラールは耳飾りを握りしめると、ギリッと奥歯を噛みしめた
 
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