竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~
 ちょうど視線の先にある壁には、一枚の絵画が飾られていた。
 一匹の竜と若い女性が水辺で休んでいる絵だ。竜の傍らに座る女性は、花冠を編んでいる。

(あっ、これってもしかして……)

 この絵は何度も目にしているが、今日初めて気が付いたことがある。
 これは、ラングール国創設の神話を模した絵だ。
 


 昔々、人間の娘と恋に落ちた竜がいた。
 怪我をしたところを人間の娘に助けられた竜はその娘に恋をして、来る日も来る日もそ会いに行った。
 娘も次第に竜に惹かれていったが、異種間である故に障害が大きすぎた。
 ただ同じときを過ごしながらも結ばれることのない彼らは、毎日のように神に祈りを捧げる。そんな彼らを哀れに思った神様が、特別に竜に人の姿を与えた。
 それが竜人の始まりだと。


 ミレイナも最近歴史の講義で習って知ったお話だ。
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