竜王陛下のもふもふお世話係２～陛下の寵愛はとどまるところを知りません～

　ジェラールが寵愛していることが明らかなミレイナに対してそのようなことをするなど、反逆罪と取られてもおかしくない行為だ。
　けれど、そうであるとすれば色々と合点がいくことも確かだった。

　今日、ミレイナを見つけ出した場所は明らかに魔獣を不正に売りさばく違法業者の拠点だった。彼らにタイミングよくウサギ姿になったミレイナが連れ去られるなど、考えにくい。けれど、事前に計画されていたとすれば話は別だ。

「わからない。とにかく、ミレイナを元に戻す方法を探るのが先決だ」
「かしこまりました。すぐに出ます」
「頼んだぞ」

　慌てて出て行ったラルフの後ろ姿を見送り、ジェラールはぐっと拳を握りしめる。

（誰がこのようなことを）

怒りから感情が昂ぶるのを感じた。壁一面の大きな窓に風が吹き付ける、ゴーッという音がした。

　そのとき、ふと足下に温もりを感じる。下を向くと、いつの間にかウサギ姿のミレイナがジェラールの足にぴったりと寄り添うようにしていた。
　心配そうに、こちらを見上げている。

「俺の感情が乱れているのを落ち着かせてくれているのか？」