竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~
(今日はそろそろ戻ろうかな)

 あまり森の奥に入り込むと危ないし、既に一時間ほど歩いた。
 そろそろ帰ろうとミレイナが踵を返そうとしたそのとき、後方からヒュンと風を切るような音がして、すぐ端の地面に何かが突き刺さった。

(え?)

 ミレイナは驚いてそちらを見る。
 枯れ葉に半分埋もれて地面に突き刺さるそれが何かを認識して、背筋が凍り付くのを感じた。

「これって……」

 それは、紛れもなく弓矢の矢のように見えた。

(誰かに狙われた?)

 ジェラールから以前、『また何者かに狙われるかもしれない』と言われたことを思い出し、ドクンと心臓が跳ねる。

 ミレイナは咄嗟に周囲を見回した。
 次の瞬間、また風を切るような音がする。

 まっすぐにこちらに向かってくる弓矢を見て、ミレイナは目を見開く。

(避けられない!)
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