竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~
    ◇ ◇ ◇

 身を固くしていると、侍女によって目の前に温かい紅茶が置かれた。
 ふんわりと優しい香りが鼻孔をくすぐる。

「ミレイナ、大丈夫か? 少し飲むといい」

 気遣うように、隣に座るジェラールがミレイナの背中を撫でる。けれど、命を狙われるという体験への恐怖心は簡単には抜けそうにない。
 小刻みに体を震わせるミレイナを見てジェラールは眉根を寄せる。次の瞬間、ふわりと体が浮いて優しい温もりに包まれた。

「これで少しは怖くないか?」

 ジェラールの顔が、鼻先が触れそうな程に近付く。膝の上に横抱きされたのだと気付き、ミレイナは慌てた。

「あ、ごめんなさい」
「なぜ謝る?」

 ジェラールはミレイナに腕を回すと、慈しむようにその体をしっかりと抱きしめる。
 豪奢な衣装越しにジェラールの胸の鼓動が聞こえてきて、すると不思議なほどに恐怖心が薄れるのを感じた。

 ミレイナはジェラールの胸にぴったりと体を寄せる。

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