竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~
 自分より少し小さなフェンリル達に囲まれたシェットはたじろいたように後ずさる。そして、ぴょんっと跳ねて外へと走り去った。

[あ、待てー!]
[追いかけっこかな]
[よし、行こう!]

 ちびっ子魔獣達が一斉にシェットを追いかけ始める。その様子を眺めながら、ミレイナはくすくすと笑う。

 そのとき、ミレイナは魔獣舎と外を隔てる柵越しに見覚えのある人が近付いてくるのを見つけた。

「ジェラール陛下とゴーラン?」

 それは、ゴーランを連れたジェラールに見えた。
 遊び場で遊んでいた魔獣達もすぐにジェラール達に気付いたようだ。外と隔てる柵の前で[ジェラール。ゴーラン!]としきりに尻尾を振りながら叫んでいる。

 魔獣舎の中に入ってきたジェラールに、リンダを始めとする魔獣係達が頭を下げる。ジェラールは彼らに「俺のことは気にせずに作業してくれ」と言った。

 ミレイナはジェラールのもとに歩み寄る。

「ジェラール陛下、どうされたのですか?」
「ミレイナの様子を見に来た。執務の息抜きだ」

 ジェラールはミレイナを見下ろし柔らかく目を細める。ジェラールの足下には、いつの間にかちびっ子魔獣達がわらわらと集まっていた。

「だいぶ減ったが、これ以上は森に戻すことが難しそうか?」
「はい。何度も魔獣の森に連れて行きましたが、家族は見つけられませんでした。ここで従獣になるのがよいかと」
「そうか。では、近日中に相性を見てみよう」

 ジェラールは少し屈むと、前足をジェラールの足にかけて立ち上がっていたちびっ子フェンリルを抱き上げる。ちびっ子フェンリルは引きちぎれんばかりに尻尾を振った。
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