竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~

 ミレイナは相変わらず、毎日のように厳しいレッスンを受けている。
 始めたばかりの頃に比べれば随分とよくなったとは思うが、それでも自信はなかった。
 特にダンスに関しては、自分が下手なせいで相手に迷惑をかけるのではないかという不安しかない。

(ダンスか……)

 以前、王宮で行われた舞踏会の様子を、窓の外から遠目に眺める機会があった。

 大きなシャンデリアの光で煌めくホールで、美しく着飾った男女が手を取り合って踊る。
 まさに、前世のときにおとぎ話で読んだ通りの世界が目の前に広がっていた。

(ジェラール陛下と踊ってみたいけど)

 そのときは、ミレイナは舞踏会に参加することはできず、ジェラールが自分以外のご令嬢と踊る姿をただ遠目に見つめることしかできなかった。

 ジェラールは竜王であり、ここラングール国で最も尊い存在だ。自分ごときが相手をしてもらえる機会があるとは思えないけれど、それでも憧れてしまう。
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