竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~
(もう! 仕方がないなぁ)
ミレイナは息を吐く。
最近、三匹のフェンリル達は成長したせいか、以前に比べると走る速度が格段に速くなった。今さっき隣にいたはずなのに、一瞬気を抜いただけで姿が見えなくなってしまう程なのだ。
[ラト。急いで追いかけるから下りておいで]
[うん]
ミレイナは木の上に向かって声をかける。
呼びかけられたラトはするすると木から下りてくると、ミレイナの肩にぴょんと飛び乗った。
ミレイナは、ラトがしっかりと自分の肩に乗ったことを確認すると、足早にフェンリル達が走り去っていった方向へと向かった。
[どこだろ?]
[あそこ]
フェンリル達の姿が見えずミレイナがきょろきょろと辺りを見渡していると、先に気付いたラトが教えてくれる。
三匹のフェンリルが仲良く並んで塀の向こう側を覗いているのが見えた。