竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~

「アダムさんに会えて話を聞けて、ホッとしたわ。リック──パルデリック殿下は『獣人の地位向上に努める』と仰っていたけど、本当にそうなっているみたいで」
「そうだね。でも、急に地位向上すると、やっぱり面白く思わない人達もいるんだ」

 そう言ったアダムの表情が、曇る。

「え? どういうこと?」

 ミレイナはその様子を見て、何かよくないことでも起きているのかと思い不安を感じた。

「うーん。例えば僕達みたいな騎士にしても、獣人は運動神経が優れているからただの人より動きが俊敏だし、力も強いんだ。今まで内心で格下に見ていた連中が、急に同僚になって、さらには自分達より評価されるようになる。つまり、自尊心が傷つけられて嫉妬するんだよ」とアダムは説明した。
「そんな、ひどいわ」

 納得がいかず、ミレイナは口を尖らせる。

 人それぞれに得手不得手があるように、獣人のほうが優れている点もあれば、人のほうが優れている点もあるはず。
 ならば適材適所にその人達を配置して皆が活躍すればいいと思うが、心情的にそれを受け入れられない人もいるのだろう。
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