竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~
「嫌みを言われる位なら別に気にしないんだけどね。最近厄介な代物が出回っているみたいなんだ」
アダムははあっと深いため息をつく。
「厄介な代物って?」
ミレイナは首を傾げる。
[この国では出回っていないと思うから大丈夫だとは思うけど、念のためミレイナも気をつけたほうがいいよ。獣人の体質を利用した違法な薬なんだけど──]
アダムがさらに詳しい説明をし始めたそのとき、芝生を走り回っていた魔獣達がこちらに駆け寄ってきた。
[ミレイナー。さっきからずっと、その人と何を話してるんだよ? 遊ぼうよ]
シェットがミレイナに文句を言う。
そして、訝しげにアダムを見上げた。
[この人、誰?]
[あ、ごめんね。この人はアダムさん。私の育った国で、近衛騎士をしているんですって]
[近衛騎士って何だ?]
シェットは首を傾げる。