竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~
「あ、そっか」

 竜人達は全員魔力を持っており、魔導具に触れただけでその効力を付与することができる。例えば、今使ったようなお湯のポットだ。
 けれど、ミレイナは魔力を持たないので魔導具を使えない。そのため、お茶会のレッスンのときはフローラ先生が事前に熱してくれている。
 今は中のお湯が少し冷めていたのに、それに気付かずそのまま注いでしまったのだ。

「陛下。こちらはお下げして、わたくしが淹れ直します」

 マリベルが今ミレイナが淹れたばかりの紅茶を片付けようとする。

「いや、いい。そのまま飲む」

 ジェラールがそれを止める。マリベルは眉根を寄せた。

「でも……」
「問題ない。お前は下がってよい。ご苦労だった」

ジェラールにそう言われると、マリベルは従うしかない。その表情からは明らかな不満が垣間見られたが、「かしこまりました」と言ってしずしずと部屋を出て行った。
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