竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~
ここの魔獣舎には、三匹のオオカミ型の魔獣──フェンリルと、一匹のリス型の魔獣──ラタトスクがいる。
彼らは元々、王宮の裏手に広がる魔獣の森で怪我をした上に親とはぐれているところを保護されたのだが、最近は竜人の相棒として共に行動する従獣としての訓練を受けているのだ。
「ところでミレイナ。こんなにゆっくりしていて大丈夫なの?」
「えっ?」
「時間」
リンダの指摘に、のんびりと魔獣達の食事の様子を眺めていたミレイナは慌てて懐中時計を確認する。
いつの間にか、予定していた時間を三十分も過ぎていた。
「あー、いけない! 遅刻しちゃう!」
この後、礼儀作法のレッスンがあるのだ。
ミレイナは大慌て魔獣舎を飛び出すと、王宮へと向かって走り出したのだった。