竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~

「陛下。よろしかったのですか?」

 その後ろ姿を見送った後、ミレイナは眉尻を下げてジェラールを見つめる。ジェラールは何事もなかったように、紅茶を飲んでいた。

「何がだ?」
「淹れ直してもらったほうが──」
「ミレイナが俺のために淹れてくれたのだから、淹れ直すわけがないだろう」

 ミレイナの言葉を遮るようにそう言うと、ジェラールはミレイナを見つめ微笑む。

「悪くないぞ?」
「…………。それなら、よかったです」

 ミレイナはほんのりと赤くなりそうな顔を隠すように下を向く。黒いメイド服のスカートが、目に入った。

(どうしよう。すごく嬉しい……)

 ジェラールに美味しかったと言って微笑んでもらえて、舞い上がりそうになる自分がいる。

 誰の目に見ても明らかに薄い紅茶なのだからミレイナが萎縮しないようにそう言ってくれているのだろうが、それでも嬉しかった。
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