竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~
部屋を出て廊下を歩いていると、二客のティーカップとティーポットをトレーに載せてこちらに歩いてくるマリベルとすれ違った。
ジェラールとラルフ用だろう。
「あんな下手なお茶しか淹れられないくせに、よく陛下とお茶ができるものね。いくら陛下がお優しいとはいえ、厚かましいにも程があるわ」
すれ違いざまに確かにそう聞こえ、ミレイナはハッとする。
立ち止まって振り返ると、マリベルはちょうどジェラールの部屋に入室しようとしているところだった。
(私、ジェラール陛下の優しさに甘えすぎなのかな?)
ふわふわと高揚していた気持ちが急激に冷え込み、竜王陛下ともあろうお方に下手なお茶を飲ませてしまったことが、とても申し訳なく思えてくる。
正論過ぎて、言い返すこともできない。
ミレイナは肩を落とすと、とぼとぼと自分の部屋へと戻ったのだった。