竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~
 ちらりとジェラールのほうを窺い見ると、ジェラールはすぐにミレイナの視線に気付いたようでこちらを見返す。
 目が合うと、普段は鋭い視線が柔らかくなる。優しい眼差しに、胸がキュンとする。

「ミレイナ、どうした?」
「なんでもないです」

 ミレイナは気恥ずかしさを感じてジェラールから目を逸らす。

(うう。心臓に悪いから、そんなに優しい顔をしないでほしい)

 ただでさえ緊張で心臓が止まってしまいそうなのに、そんな風に笑いかけられたら本当に心臓が止まってしまいそう。

 そのとき、「お兄様」と鈴を鳴らすような可愛らしい呼び声がした。
 声のほうを見ると、見知らぬ女性がいた。年の頃はミレイナと同じか、少し下だろうか。

(うわぁ、可愛い子!)

 金色に煌めく髪をハーフアップにまとめ上げ、長い睫毛が縁取る瞳は淡い水色。至る所にリボンが付いたピンク色のドレスは、彼女の可愛らしさをより一層引き立てていた。

「ああ、クレア」

 リックはその女性を自分の隣へと導く。

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