竜王陛下のもふもふお世話係２～陛下の寵愛はとどまるところを知りません～

「紹介が遅れました。こちらは私の妹のクレアです」
「アリスタ国第一王女、クレア＝アーレンツです。以前アリスタ国にお越しいただいた以来ですね。またお会いできて光栄ですわ」


　クレアと呼ばれた女性は優雅な所作でドレスを摘まみ、腰を折る。

（クレア王女……。ってことは、この方が以前にジェラール陛下と婚約すると噂になっていた方かな？）

　アリスタ国とラングール国の国交正常化の交渉がされている際、水面下でクレアとジェラールの政略結婚の話が出ていたことは、ミレイナも噂で聞いていた。結局はジェラールが『和平条約が結ばれたのなら政略結婚までする必要ない』と断ったようだ。

　とても可愛らしい人だと思った。興奮からか、真っ白な肌は頬が僅かに紅潮し、空色の瞳はキラキラと輝いている。

「改めて、ラングール国のジェラール＝デレル＝ボワヴァンだ。初日は疲れていたようだが、もう大丈夫か？」
「はい。せっかくの晩餐を欠席してしまい申し訳ございません」
「いや、こちらは気にしなくて大丈夫だ。体調が回復したのならよかった」