竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~
「ジェラール陛下側からその話はお断りされたのだけど、正直ほっとしたわ」
「ほっとした?」

 てっきり、実際のジェラールの人となりを知って、思った以上に素敵だからやっぱり婚約したいとでも言い出すのかと思った。
 予想と全く逆のことを言われて、ミレイナは拍子抜けする。

「だって、旦那様はいつまでも若々しいのに、わたくしだけ年老いてゆくなんて耐えられないわ。あんなに素敵な見目をしているなら、なおさらよ」
「え?」

 ミレイナはクレアの言っている意味がよくわからず、聞き返す。

「ほら。竜人は長命だから」

 その瞬間、理解した。

(もしかして、私達と寿命が違うの?)

 歴史の講義を受けながら、随分と一代あたりの竜王の即位期間が長いのだなと不思議には感じていた。
 竜人の寿命が長いとすれば、それも納得がいく。

「わたくし、結婚した人とは共に歳を重ねて、一生添い遂げたいの。だから、相手は普通の人がいいわ」

 クレアは一段声を落とすと、いたずらっ子のように笑う。
 ミレイナはどう答えればいいかわからず、曖昧に笑みを返した。

 普段はあまり感じないが、自分とジェラールとの間には明確な種族差があるのだと感じ、ショックを受けている自分がいる。

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