竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~
「楽しい会のはずなのに、浮かない顔だね?」
「わかる?」
「まあね」

 アダムは持っていたグラスのひとつをミレイナに手渡すと、ミレイナと隣り合うように会場の壁に背を預けた。

「弱めのお酒だから、緊張が解れるかも」
「ありがとう」
「何か嫌なことでもあった?」
「ううん。とっても素敵な会だし、みんな親切にしてくれるわ。だけど、私だけだめだめなの」
「だめだめって?」

 アダムはミレイナのほうを向き、少し首を傾げる。

「今日の会のために陛下の側近の方がすごく沢山のレッスンを受けさせてくれたの。それなのに、私ったら何ひとつ上手くできないの」

 ミレイナはぽつりぽつりと事情を話す。竜人のみんなとの寿命の差もショックを受けた原因だったけれど、それは言わなかった。

「ああ、なるほど」

 アダムはミレイナの落ち込んでいる理由をなんとなく理解したようだ。再び背を壁に預けて会場を眺める。

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