竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~

◆◆ 2

◆◆    2

 ラングール国の王宮のテラスは、竜化した竜人達が降り立つ場所を兼ねているのでとても広い。

 石製の手すりに寄りかかると、ミレイナは背後を振り返った。
 大きなガラス越しに、煌びやかな社交の世界が広がっている。

 ダンスを終えたジェラールが、何かを探すように会場内を見回しているのが見えた。そこに、ひとりの男性が声をかける。すぐに砕けた雰囲気で喋り始めた様子から、恐らく話しかけてきたのは国内の有力貴族だろうと思った。
 男性の横にはミレイナとそう歳の変わらぬ少女を連れている。男性が少女を紹介するようにジェラールの前に押し出している。
 にこりと微笑んだジェラールが、少女の手を取るのが見えた。

 胸の奥に、ツキンと痛みが走る。

(結局今回も、ガラス越しで見るだけだわ)

 ミレイナは自分の姿を見下ろす。

 腰から裾にかけてふんわりと広がるドレスは水色だ。その水色が、光の当たり方の加減でジェラールの瞳を思わせるような青色に変化する。裾や袖にはレースがふんだんにあしらわれているが、随所に飾られた花のお陰で可愛らしい印象を受けた。

 普段は下ろしている金色に近い茶髪は、今日はセシリアの手配してくれた侍女が可愛らしく結い上げてくれた

< 71 / 244 >

この作品をシェア

pagetop