竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~
「ミレイナは、俺のことを慕ってはくれていないか?」
「私は……」

 ジェラールのことは好きだ。
 少しでもこの人の側にいたくて、単身で遠い異国の地まで移住してきたのだ。

 けれど──。

 竜王であるジェラールの妻になることは、即ち大国であるラングール国の竜王妃になることを意味する。一介の平民の、しかも外国人で獣人の自分に務まるとは到底思えなかった。

「駄目です。私ではジェラール陛下に相応しくありません」

 ミレイナはふるふると首を振る。

(だって私は、挨拶すらまともにできないもの)

 どう考えても、王妃の器ではない。

 それに、先ほどアリスタ国の王女であるクレアから聞いた言葉が甦る。

『だって、旦那様はいつまでも若々しいのに、わたくしだけ年老いてゆくなんて耐えられないわ』

 ウサギ獣人の寿命は人間よりやや短い位だ。竜人であるジェラールからすればあっという間に老いてゆくだろう。
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