竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~

ミレイナから聞いたシステムは素晴らしかったが、そこには決定的な欠陥もあった。その最たることは、ラングール国には魔獣や動物の健康管理をできる知識を持つ者がいないということだ。

 現在、怪我をした魔獣を保護した際は竜人の医師がその治療をしている。彼らでもある程度はできるのだが、竜人と魔獣では骨格も違えばかかる病も違うはずだ。
それを解決するため、ジェラールはアリスタ国の王太子であるリックに手紙を出した。アリスタ国に何人かのラングール国民を派遣し、ペットの健康管理のために必要な獣医学の知識を学ばせるたいという要請だ。

 ペーパーナイフで封を切り、中から書類を取り出す。
 読んでみると、【ラングール国からの派遣を喜んで受け入れる】という快諾の旨と共に、アリスタ国とラングール国を結ぶ道路の建設の話から他愛もない近況まで色々と綴られていた。そして、最後にはこう書き添えられていた。

【最近、アリスタ国では本来の姿を隠さずに過ごす獣人が増えてきた。ウサギ獣人の女性には耳に添える飾りを贈ることが多いようだ】

 ジェラールはつとその文面に視線を留める。

 ミレイナの長く垂れ下がった愛らしい耳に、自分が贈った耳飾りを飾る。
 絶対に可愛い。
 間違いなく可愛い。
 可愛さに可愛さが相まって、史上最高に可愛いに違いない!

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