片桐兄妹の言うことにゃ
それを視界の端に捉えながら、燐はコーヒーを飲む。
「まどちゃんってさ、バイトしなくてもお金持ってるよね」
「だろうなー。あいつん家金持ちだし」
天河円香。藍と同じ高校に通う同級生であり、藍の恋人だ。
よく家に来ては、燐ともゲームをする。
藍の通う櫻第三高は、白梅ほど頭は悪くないが不良も多い。
その典型的なのが、藍だ。
「お前、時間良いの?」
Tシャツの上にワイシャツを羽織った藍が時計を示す。いつも燐が家を出る時間だった。
皿を片付けて歯を磨く。鞄を持って、玄関に向かった。