片桐兄妹の言うことにゃ

父親は早くに亡くなった。
母親は燐が中一の時に帰ってこなくなった。

男の影がちらちらとあったので、その男の元へ行ったのだろう。必要では無かったので、捜そうとは思わなかった。

その頃は藍も家に全く帰ってこず、燐は家に一人だった。

バイクのエンジン音に、柵の隙間から下を見る。

うちの前で停まり、おりる姿。
燐と同じ制服。

霞千治。

ここに来たということは片桐家へ来たのだろう。あの時、また来ると言っていた。

千治はヘルメットを取り、片桐家の方へ歩き出した。確かに、藍は人や動物に好かれる体質ではあるが、何か用があるのか。

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