片桐兄妹の言うことにゃ

持ち主の居なくなったバイクをぼんやり見ていた。

ざ、ざ、ざ。
巻き戻したような後ろ歩きで千治が戻る。

ぱっと視線が上がる。
燐はぱちくりと瞬きをする。

「お前何やってんの?」

千治が問うた。

まさか見つかるとは思わず、燐は身体を引っ込めた。これで察して欲しいと願いながら。

しかし相手は暴力で問題を解決しようとする男だ。そんな思考回路はなかった。あったとしても、燐に使われることは無かった。

カンカンと階段を上がる音に、燐は静かに神を思う。

本当にいるのならば、どうかご慈悲を。
アーメン……。
そういえばアーメンってなに? ラーメンの仲間?

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