片桐兄妹の言うことにゃ

そんなことを思っているうちに、千治は目の前まで来てしまった。

「学校は?」

何も見えない。何も聞こえない。
兄という盾無しに、千治と対峙する勇気は無かった。
鞄を抱えてじっとする。

「石かよ」

小さく嘲笑い、千治は燐の横に腰を下ろした。

目に留まった燐の腕を掴む。
びくりとそちらを見上げた。

「良い時計だな」

時計を褒めたのは、千治が二人目だった。

ぱっと腕が離され、燐はそれを戻す。

「お前、学校来てねえよな」

今度は疑問形ではなかった。
既に調べはついている、かのような。

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