片桐兄妹の言うことにゃ
現実はいつも現実だ。
「……学校辞めよっかなって」
「それこそ藍が反対するんじゃない?」
「でも、勉強好きじゃないし」
「学校辞めてどうするの?」
円香が現実を問う。完全に手元が止まった。
働く。それしか残されていない。しかし、高校中退の身をどこが雇ってくれるのかという問題だ。
バイトならいくらでも出来るだろうが。
それで生きていけるほど、甘くもない。
「まあ辞めるも辞めないも、一回は行かないとね」
明るく静かに円香は言った。
その言葉に力なく頷く。
夜、三人で川の字になって眠った。