片桐兄妹の言うことにゃ
学校を辞めようかと悩んでいるはずもない。
「離して」
核心をつかれ、頬が痙攣する。
燐は千治に対して、警戒より嫌悪を抱き始めていた。
「学校、来いよ」
目を細め、嗤う。
息を吐く。振り払うと、腕は容易く外れた。
先程の態度は消え、優雅に足元の鞄を取った。
腰掛ける千治を見下げる。風が吹き、髪をなびかせた。
「弱者に対して正論を吐く」
燐も嘲笑った。
それから吐き捨てる。
「良い趣味をお持ちで」
一瞬呆けた千治。
女に趣味をどうこう言われるのは初めてだった。
「でもお生憎様、あたし学校辞めるから」