片桐兄妹の言うことにゃ

千治に見つかったので、アパートの二階で待つのは止めた。近くの公園で時間を潰していたら、あのザマだ。

燐を捜したのか、それともまた目に留まったのかは分からない。しかし、絡んでくるのは目的があってだろう。

色々とムカついて言ってしまったが、あの後特に追いかけられも、殴り込みにくることもなかった。

「ただいまあ」

珍しく先に藍がいるらしく、玄関の明かりがついている。下に目をやると、靴が二つ。

ぱっと部屋の奥に視線を向けた。

「ん、おかえり」

藍が箸を上げて返す。座卓の上にホットプレートが乗っていた。

< 36 / 91 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop