片桐兄妹の言うことにゃ

換気扇の音。
焼ける肉の匂い。

「お肉だ」
「駅の向こうのスーパーで安かった。お一人様一パック」
「でも一パック……」

一パック以上ある肉の量。
円香も一緒に行ったのだろうか。

いや、先程見た靴は……。

「千治が一緒に」

指さされた台所に立っていた。燐が横を見て固まった。

換気扇の傍で煙草を吸う千治。

「おーす」
「なんでいるの」
「肉食いに」
「お前も早く手洗ってこい」

藍の言葉に、燐は顔を顰めたまま洗面台へと向かった。

公園での出来事を忘れたのか?
それともその復讐をしにきたのか?

< 37 / 91 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop