片桐兄妹の言うことにゃ
ホットプレートの温度を下げながら燐は「そっかー」と返す。
「何の名前?」
「うちで餌やってる野良猫。白と黒」
「野良で、のーちゃんらーちゃん、か」
どっかにそんな芸人いたなと千治が少し笑う。
「燐が何にでもちゃん付けするんだよ」
「ちょっとだけ可愛くなるでしょ」
「意味分かんね」
「じゃあ千治は? ちーちゃん?」
燐は千治を嫌そうに見る。涼しげな顔を向けた千治から視線を逸らした。
「はるちゃん」
男二人が噴き出した。
後、ゲラゲラと藍が笑い始める。
和室の引き戸は閉められており、開いた窓から笑い声と煙が逃げていく。