片桐兄妹の言うことにゃ
何故、今この状況で、藍の話が関係するのか。
答えない燐の前で、千治は携帯を操作した。そしてある画像を見せる。
薄い青の錠剤。画像の端にそれが入っていたのであろうポリ袋が映っている。
何かの薬、にしては、扱いが雑だ。
「見たことあるか?」
「ない……」
「藍が持ってるのは?」
「もしかして、それ」
何かの薬、ではなく。
「ここ数年、急に出回ってきてる。名前はブルーイカロス。依存性はないと謳われて、しかも生徒や学生が手を出せる価格。アッパー系のドラッグだ」
千治は端的に説明する。まるで教科書に載ってるかのように。