片桐兄妹の言うことにゃ

悪魔の証明。やっていない、関わっていないと証明するのはとても難しい。

立てた人差し指のその先をぼんやり見つめた。

燐が口を開く。

「薬の出どころと、それを捌いてる人間を見つけること」

指から、千治へと視線を移す。
その瞳の奥が美しいこと。

千治は笑い、燐の薄い肩に手を乗せた。

「話がはえーな。ま、俺らに協力してりゃ自ずと分かる」

ぐっと引き寄せられ、鍵と扉の開く音。
完全に首にかけられた腕を退ける力もなく、燐はとぼとぼと歩き出す。

外の廊下には、青い髪の高陵がいた。

ぱちりと燐と目が合う。

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