片桐兄妹の言うことにゃ
見知った姿に、燐は安堵する。
同時に男から少し離れた。
「時間差で警戒された」
「俺の幼馴染。鮫貝冬馬」
燐の紹介は既に済ませていたのだろう。鮫貝は千治を見て「兄ちゃんに連絡した?」と尋ねた。
「一応。燐、今日バイトは」
「入ってない」
「保険証持ってるか?」
頷く。よし、と千治は言って燐を立ち上がらせた。
どこか行くのか、と顔を見上げる。
「あ、ちなみに。冬馬の家はでかい病院」
まるで自分の持ち物のように得意げな顔をして、鮫貝を親指で示した
「お金持ちってこと?」
「つまるとこそうだな」
「おいやめろ」