片桐兄妹の言うことにゃ

こいつも撃沈。
顔を隠すようにして笑う鮫貝を見て、燐は納得いかないという表情。

「おい待て。冬馬は?」

一頻り笑い終えた千治が鮫貝を指す。面倒臭そうに顔を上げて、燐は口を開いた。

「鮫ぽん」
「鮫ぽん」
「鮫ぽん……」
「他の患者さんもいますから、お静かに願います」

またしても笑い始めた男子校生たちを前に、看護師が言い放つ。

「すみません……」と謝るのは鮫貝だった。やがて燐が呼ばれて、診察室に入る。

その背中を見送り、燐が座っていた場所に鮫貝が腰を下ろす。

「誰と喧嘩したんだ?」

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