片桐兄妹の言うことにゃ

無造作に貼られていた湿布は貼り直され、燐は並んで座る二人を見た。

「折れてはなかった」
「良かったな」
「もう痛くない」
「どんな処置されたんだよ。帰るぞ」

そう言って立ち上がる千治を見て、目を瞬かせる。

「お金払ってない」
「冬馬にツケとけ」
「……利子つき?」

じっと鮫貝の方を見た燐。それに掌を見せて、少し笑った。

「いや、出世払いで良いぞ」
「今度返す」
「律儀だな」
「お兄ちゃんが金は絶対借りるなって」

片桐家の家訓だ。金は貸すな借りるな。

ふーん、と鮫貝は頷いた。

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