片桐兄妹の言うことにゃ

熟女に腰を振られる程、いやそれ以上に魅力的な誘いではあった。

「俺、これからバイトなんだわ」
「そっか」
「ああ、じゃあ明日な」

約束と同等のその言葉に、燐は返すものを探す。

明日、また学校へ行かねばならない。

「教室なんて」

それを察したように、実際察したのかもしれないが、千治が言う。

「机蹴散らして入ってくくらいが丁度良いんだ」

余りにも清々しいので、燐は思わず笑った。
笑わせるつもりは無かったが、笑う燐を見て千治は再度きょとんとする。

笑えば、思いの外可愛かったからだ。


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