片桐兄妹の言うことにゃ
どこへ行くのか、と燐はそれを目で追う。
「じゃ、お邪魔しました」
「俺、そこまで送ってくるわ」
「ん……うん」
「また来る」
心底嫌そうな顔をした燐に気づき、千治は楽しげな顔をした。それは、誰にも気づかれることは無かったが。
パタンと閉まった扉の音を聞いて、燐は紅茶を飲み終えた。
ぼんやりと時計を見上げ、はっと思い出す。餌の時間だ。
キッチンの下の扉からキャットフードを出した。その口を開ければ、皿の上にコロコロと吐き出される。
朝は燐が、夕は藍が。
ベランダに皿を出して、窓を閉める。そっと様子を窺っていると、いつも家に来る黒猫と白猫がひょこひょこと現れた。