片桐兄妹の言うことにゃ
先程、燐の隣に座っていた時とは違う人間になったかのような。
藍はそれを見ていた。きっとこっちが素なのだろう、と推測しながら。
「そうそう、潰し合ってんなら御の字。潰しに来てもまあ良し。行くのは面倒くせえから」
千治は目を細める。
「ま、恩人のお前に喧嘩売ったつもりはねえよ。迷惑かけたなら悪かったな」
いつもの顔に戻る。
「俺は別に良い。ただ櫻第二と、燐を巻き込むな」
「わーかってる。でも、アイツ素質あると思うけど」
「あ?」
凄むなよ、と千治は笑った。バイクのエンジン音が近づく。
バイクのライトに二人が照らされた。