片桐兄妹の言うことにゃ
千治の後ろを通り、すぐ横で止まった。
「じゃーな。また来る」
「おい」
優雅に手を振り、ヘルメットを被ってバイクの後ろに乗る。運転しているのは鮫貝だった。
藍がその後ろ姿を目で追う。
来ても良いけどよ、と呆れた顔で溜息を吐いた。
「分かってねえだろ……」
それから家へと歩き出した。
燐が歩くと、目の前に道が出来た。
一昨日、教室で女同士で喧嘩した奴、というレッテルを貼られている。いや、囁かれている。
そんなことを嘆く友人も居ない。