【短】好きになったのは、何かが欲しかったからじゃない
そんな時、彼が…悩んで悩んでやっとの思いで、義理だよなんて笑って渡したバレンタインのお返しを持って、私の所へやってきた。
それは2つあって、一つはキャンディだった。
「お前さん、よくアメ舐めてたから」という理由で…。
そしてもう1つは…もう1つは……。
【ありがとう】
という言葉が添えられた、可愛いクマの小さなぬいぐるみだった。
それを私に押し付けるようにして渡すと、彼はスタスタと去ってしまう。
私は、暫くその白いクマのぬいぐるみを見つめて、背中に紙と何かが挟まっていることに気付く。
「なに…?」
恐る恐る、震える手で紙を広げた。
「…っ!」
それは…私の今までの気持ちに対する感謝と共に、何時だったか互いに宝物だと話していた曲の入ったカセットテープだった。
「好きていてくれてありがとうとか…こんなモノ…いらないのに…やべっちが傍にいてくれたらそれで良かったのに…」
好きだからこそ、モノなんかより、言葉なんかより、その気持ちの温度が欲しくて…すっとずっといたのに…隣にいたのに。
それすらも、もう…出来ないんだね。
これからも、私たちは友達のまま…なんだね。
そう思って、私はその場にしゃがみ込んだ。
好きだから、何かが欲しいだなんて、そんなことは望んでなくて、ただただ彼の視線の中にずっといたかっただけなのに。
もう、それは出来ない。
距離の空いてしまう私たち二人では…。
私はそんな気持ちを貰ったキャンディと共に噛み砕いで、空を見上げた。
甘いのに切ない味のキャンディ。
きっと、この味は二度と忘れない。
Fin.
それは2つあって、一つはキャンディだった。
「お前さん、よくアメ舐めてたから」という理由で…。
そしてもう1つは…もう1つは……。
【ありがとう】
という言葉が添えられた、可愛いクマの小さなぬいぐるみだった。
それを私に押し付けるようにして渡すと、彼はスタスタと去ってしまう。
私は、暫くその白いクマのぬいぐるみを見つめて、背中に紙と何かが挟まっていることに気付く。
「なに…?」
恐る恐る、震える手で紙を広げた。
「…っ!」
それは…私の今までの気持ちに対する感謝と共に、何時だったか互いに宝物だと話していた曲の入ったカセットテープだった。
「好きていてくれてありがとうとか…こんなモノ…いらないのに…やべっちが傍にいてくれたらそれで良かったのに…」
好きだからこそ、モノなんかより、言葉なんかより、その気持ちの温度が欲しくて…すっとずっといたのに…隣にいたのに。
それすらも、もう…出来ないんだね。
これからも、私たちは友達のまま…なんだね。
そう思って、私はその場にしゃがみ込んだ。
好きだから、何かが欲しいだなんて、そんなことは望んでなくて、ただただ彼の視線の中にずっといたかっただけなのに。
もう、それは出来ない。
距離の空いてしまう私たち二人では…。
私はそんな気持ちを貰ったキャンディと共に噛み砕いで、空を見上げた。
甘いのに切ない味のキャンディ。
きっと、この味は二度と忘れない。
Fin.