突然ですが、イケメンアイドルの妹になることになりました!①
「俺は不幸かもしれない。だからといって、ひまりの不幸がそれよりマシだとかそんなこと言いたいわけじゃない。」


蓮兄の飲んでいるアイスコーヒーの氷が
カランとグラスにぶつかって音をたてる。


「ただ、受け入れるってそんなに難しくない。」


蓮兄は私の鎖骨の下あたりをトンとつつく。


「ここに自分がいるんだ。」

「私が…?」


蓮兄の指が離れると
そこが温かくなった感じがした。


「本当はいつもそこにいるんだ。ただ、見えなくなってしまう時がある。」

「見えなくなってしまう…。」

「でも、ちゃんとそこにいるんだ。そして、とても強い。」


蓮兄の横顔はとても凛々しくて
強く見えた。


「それを分かっていれば、どんなことも乗り越えていけるよ。」


蓮兄は少し恥ずかしそうに笑うと
私の飲み切ったマグカップを持って、キッチンに消えて行った。
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