突然ですが、イケメンアイドルの妹になることになりました!①
「杏奈さんって…
付き合ってる人とかいたのかな。」


スケジュールの関係で
蓮兄と二人で移動した。


「今一緒にいる奴の前にってこと?」


その反応に
暴力団関係かもしれない杏奈さんの相手に
悪意が向けられていることが分かる。


「うん…。純大とか有とかとは…。」


実のお兄さんに聞きづらいことだったが、
やっぱり知っておきたかった。


蓮兄は少し言葉を選びながら、口を開いた。


「杏奈はね…有のことが好きだったんだと思う。」

「でも…。」

「あの頃の有はね、なんというか自暴自棄で。女の子も結構変わってたかな。」


そうか…
付き合ってたわけじゃなかったんだ。


純大が杏奈さんのことをどう思ってたのかも気になったけど
これは蓮兄に聞くことではない気がした。


「有も同じ気持ちだと思ってたんだけど、なんでこんなことになっちゃったんだろうな。」


蓮兄は目を閉じると、軽く私の肩にもたれかかって、浅く眠りについた。
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